大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)2803号 決定 1957年4月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人高木徳義の上告趣意一中判例違反をいう点は、引用の判例が本件に適切でないから、その前提を欠くものであり、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり(本件のごとく被告人が他人からその所有の衣類在中の縄掛け梱包した行李一個を預り保管していたような場合は、所有者たる他人は行李在中の衣類に対しその所持を失うものでないから、被告人が他から金借する質種に供する目的で擅に梱包を解き右行李から衣類を取出したときは、衣類の窃盗罪を構成し横領罪を構成しない。)、同二は、量刑の非難で、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例